おそらく、多くの皆さんがセックスレスマリッジ(レス婚)を続けることのリスクについてあまり考えていないことでしょう。
しかし、長い期間、セックスレスを体験しているご夫婦の皆さんは、
「本当に、このままレスを一生続けてしまっていいのだろうか?」
というような思いが、心の奥底に多少はあるはずです。
セックスレスマリッジ(レス婚)には、大きく分類して3つの種類の要因に分類されます。
さらに細かく見ていくと、セックスレスマリッジには、12個の直接的な原因がありますが、今回は3つの種類の要因について詳しくお話します。
※12個の直接的な原因については、男性心理学コースで詳しく学んでいただけます。
もしもあなたが、今現在、配偶者とセックスレスマリッジを続けているのであれば、
まずは、今のあなたと配偶者の状況が、3つの中のどの要因に該当しているのかについて考えてみて下さい。
◆多くの夫婦にとって、肉体的な距離と心理的な距離はイコールである
多くの夫婦にとって、肉体的な距離と心理的な距離は、ある程度、一致しています。
たとえば、心理的な距離が離れている夫婦はスキンシップがまったくないか、
あるいは、たとえスキンシップがあったとしても、それは心からのものではなく、義務的なものであったり、形式的なものであったりします。
私は今までの、長年の夫婦関係修復のサポートを通して、数多くのご夫婦の皆さんの状況を見てきましたが、
多くの場合、ご夫婦おふたりに心理的な距離が発生していて、お互いの心に壁がある夫婦の間にはスキンシップはありませんし、
もちろん、その場合は、夫婦間でのセックスもありません。
心が離れている割合が高い方の配偶者の側から、もう片方の配偶者にスキンシップやセックスを求めることは、ほぼ皆無です。
これは、人間の本質や性質を理解していれば納得がいく話だと思いますが、
私たち人間は、自分が心を許していない相手の前で、自分が身に着けているものをすべて脱ぎ捨て、
裸という自分自身の無防備な姿をさらすことができるかというと、そう簡単にはいかないのではないでしょうか。
私たち人間は、感情面の部分で近付けたという感覚を持てる相手や、
この人だったら心を許してもいいかもしれないといった、安心感が多少でも発生しなければ、
そう簡単には、自分の裸の姿を見せることができないと思うのです。
しかしながら、夫婦のなかには、自分の気持ちが配偶者に対して開けていなくても、配偶者と気持ちがつながっていなくても、
結婚生活の維持のため、あるいは自分自身の保身のために、
妥協して相手から求められた場合のみ、スキンシップやセックスに応じるケースもあることでしょう。
だからといって、その夫婦が感情面でつながっているとは断定できません。
世の中には、配偶者に対して気持ちはないが、自分が持っている性欲を満たすためにセックスをしている夫婦や、
何らかの打算的な理由でセックスをしている夫婦もいるからです。
特に、夫婦関係を修復中の場合は、一度、配偶者とセックスができたからといって、
セックスレスの解消に成功したとは言えませんので、この点については要注意です。
時々、お見受けすることの中に、夫婦関係の修復中に、夫と妻が一緒にお酒を飲む機会があり、
その際に、酔った勢いでセックスをしてしまうというご夫婦の皆さんたちがおります。
今までセックスをしていなかった夫婦が、夫婦関係を修復している最中に、一緒にお酒を飲んだ後、
なんとなくの流れでセックスが発生してしまったというケースを私は幾度となく見てきましたが、
このケースの場合、ほとんどの夫たちは、この後、妻とセックスをするということを避け始め、再度、妻との距離を取ろうとします。
つまり、酔った勢いで何となくセックスをしてしまったものの、
普通の状態に戻った後は、自分たちの夫婦関係のレベルに改めて気付き、
今の段階では、妻とセックスをするべきではなかったと後悔する男性たちも少なくありません。
つまり、夫と妻が再びセックスをしたとしても、それが直接、夫婦関係の修復の成功には結び付かないということです。
多くの夫と妻にとって、セックスと感情的な面での親密さは、彼らの結婚生活に密接に関連しています。
セックスは、多くの夫婦にとって、依然として結婚に重要なものを与える要素のひとつであり、
セックスがあることによって、男女は感情面での親密さを作ることもできます。
もちろん、セックスができたからといって、夫婦関係の修復に完全に成功したとは言えませんが、
まだ、セックスが復活していない場合は、セックスを復活させるために必要なことをおこなうことも大切です。
しかし、結婚生活の中でセックスがないことが当然だと思い、セックスがない状態を長い間維持してしまうことによって、
益々、感情面でのつながりが消えてしまい、その結果、夫婦関係にヒビが入ってしまうケースも非常に多いです。
◆多くの男性がセックスレスマリッジの最中に取る選択肢
夫婦間でのセックスが消失した場合、多くの男性が取る選択肢は、
(1)風俗にて性サービスを購入する
(2)セックスフレンド(セフレ)のような不倫相手を獲得する
上記のいずれかです。
英語圏では、セックスフレンド(セフレ)のことを、Friend with Benefits という呼び方をします。
最近では、あからさまにSex Friend といったような表現は使用されていません。
また、英語圏では、性サービスの購入に関しては、Escort Service (エスコートサービス)という言い方を使用しているケースが多いです。
通常、 英語圏での Escort Service と言うのは、日本で言うところのデリヘルに該当します。
つまり、ホテルに女性を呼び、性行為をおこなうという形式です。
もちろん、そこには料金が発生します。
最近では、女性用の性サービス購入も発達しておりますので、
女性の中にはそのようなサービスを利用する人たちも増えているかもしれませんが、
まだ、圧倒的に男性の方が女性よりも、性サービスを購入する割合が多いように思えます。
しかしながら、近年の既婚女性の中には、夫以外の別の男性と不倫をしているケースが増えております。
女性の場合は、遊びの不倫ができないため、大抵の既婚女性の不倫は本気になり、
不倫をしている既婚女性は、自分の夫と離婚して不倫相手と一緒になるということを計画し始めます。
男性と女性との間には、セックスに対する温度差がかなりある、というのが私の今までの経験で言えることです。
私が今まで見てきた多くのケースでは、女性のほとんどの皆さんが、
自分の夫とのセックスレスを軽視する傾向にあるということです。
もしかしたら、ご本人たちは、セックスレスの問題を軽視しているつもりはないのかもしれませんが、
男性の目から見ると、妻側がセックスレスマリッジについて何も言及してこないということの意味は、
”私はセックスにまったく興味がない”
”私はあなたとはセックスをする気はない”
というメッセージを送っていることと同じことになります。
女性は、自分の夫がセックスレスに関して、何も言ってこないからといって大丈夫だと安心してはいけません。
夫が妻にセックスレスについての発言をしてこないことの意味は、
- 既にあなたとのセックスを諦めている
- あなたとのセックスに興味がない
- 別にセックスをする誰かがいる
ということなのです。
男性が言う、
「僕は性欲があまりないから。」
「家族になったら、セックスしないのが当然。」
「僕はセックスがなくても大丈夫なタイプ。」
などという言葉についても、女性はこの男性の言葉を信じてはいけません。
通常、肉体的に健康な状態である正常な男性である場合、性欲がない男性というのは、動物的本能の側面から非常に無理がある話です。
時々、夫たちの中には、
「もう、歳だから、セックスがなくても大丈夫。」
「もう、この歳になったら、性欲が沸かない。」
といったようなことを言うケースもありますが、仮にもしも、あなたの夫が30代・40代・50代で入っている場合は、本気に受け止めないで下さい。
男性というのは、いくつになっても、性的欲求を失うことは、ほぼ、ありません。
そのような男性の言葉は、妻と肉体的な関係に発展させないための『防衛の言葉』なのです。
このことについては、心理学者である私の主人も同じ意見です。
このことは、人間の心理や本質について詳しい心理学者が言うことですので、とても信憑性がある話だと思いませんか?
◆セックスレスマリッジの3つの要因
あなたの結婚生活の中で、セックスを回復するための解決策を見つけるために、
まずはじめにこれらの3つの問題のどれが、あなたの状況に最もよく適しているかを見つけて下さい。
1.肉体的な問題
2.精神的な問題
3.夫婦関係が悪いという問題
夫婦間でのセックスの欠如は、これら3つの要因の組み合わせの結果である可能性もあります。
また、各パートナー(夫と妻)は異なる領域で問題を抱えている可能性もあります。
1.肉体的な問題
肉体的な問題については、実は男性と女性と両方に発生します。
【男性に発生する肉体的な問題】
男性の場合は、勃起不全(ED)が有名で、勃起不全は明らかな身体的障害です。
勃起不全症候群は、男性のセックスやオーガスムを妨げるだけでなく、
男性にとっては心理面での恐れや自尊心の低下の原因にもなります。
おそらく、多くの女性は知らないことかもしれませんが、
男性の中には”選択的な勃起不全症候群”を意図的に発生させる可能性があるということです。
つまりこれは、あなたの夫はあなたとだけ”できない自分”を装うときがあるということです。
インターネット上や雑誌等では、妻だけEDという言葉がひとり歩きをしているかもしれませんが、
実際には妻だけEDという病名はありません。
妻だけEDの正体は、何らかの理由で妻とセックスをしたくない夫が、
”妻とはセックスができない自分を意図的に装っている”
ということです。
その代表的な例としては、夫は妻とはセックスをしたくないので、
”セックスを呼び起こしてしまう可能性がある妻とのスキンシップは一切おこなわない”
というケースを、今までに私は数多く見ています。
男性が自分自身のマスターベーションを介して、勃起とオーガズムを得られる場合は、勃起症候群とは言えません。
また、男性が他の女性とのセックスを介して勃起とオーガズムを得られる場合も、勃起症候群とは言えません。
多くの女性は、夫がある程度の年齢になると、夫に勃起不全症候群の可能性があることを疑い、
自分たちがセックスレスになっている原因は夫の勃起不全症候群にあると、勝手に思い込み、
彼の勃起不全が治れば、自分たちのセックスレスの解消や、
自分たちが抱える性的問題を改善するることができると誤解して信じています。
しかし実際には、男性側が勃起不全を装うことにはメリットがあり、
そのメリットとは、気持ちがない妻とのセックスをしなくてすむことや、
自分が浮気や不倫といった不貞行為をしていないと妻に思わせることでもあるのです。
実際に、不倫をしている男性たちの多くは、自分の妻にはあたかも自分はED(勃起不全症候群)であり、
それが理由で妻とはセックスができないように装い、
その裏では、水面下で不倫相手女性と、バイアグラを使ってまでセックスをしているケースも多々あるのです。
男性という生き物は、いくつになってもセックスができる現役男性でいたいという願望を持っています。
そのため、その自分の願望を達成するためであれば、バイアグラなどの薬を利用してセックスをすることに対して、
ためらいの気持ちや、うしろめたい気持ちはまったく発生しません。
この点も多くの女性が男性の性について理解していない部分のひとつになります。
【女性に発生する肉体的な問題】
女性の場合は、更年期障害やプレ更年期障害、女性ホルモンの減少によって、肉体的に濡れにくくなるケースや、
長年、セックスをしていなかったことによって膣が腟萎縮が発生し、
その結果、肉体的に男性の性器を受け入れることが難しくなるという状況が発生します。
女性の場合、更年期を迎えるあたりから、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が一気に低下したり、
子宮内膜や子宮筋の委縮、骨盤底筋群の緩み、腟壁の乾燥や腟萎縮(萎縮性腟炎)、腟炎が起こりやすくなります。
私のクライアントさんたちの中には、長年、夫とセックスレス生活を続けており、
いざ、勇気を出して夫とのセックスレスを解消を試み始めたところ、
自分自身の身体に、腟壁の乾燥や腟萎縮が発生していたという問題に直面し、
セックスレスを解消する前に、病院で治療を受けなければいけない状態になったケースもあります。
腟萎縮が進むと、女性の場合、男性器の挿入は痛みを伴う場合も多く、その影響でさらにセックスレスに拍車がかかる傾向にあります。
まだ、40代に差しかかっていない女性の皆さんたちの中には、
「自分はまだ更年期障害の年齢までほど遠いからまだ大丈夫。」
と安心していらしゃる人たちもいると思いますが、私が知る限りでは、
40代に入った途端に生理が止まってしまったという女性の皆さんの話も多々耳にします。
実際に私の友人の何名かも、40代に突入した直後に生理が止まってしまったと言っておりました。
生理が止まるということは、閉経を意味します。
閉経すると、エストロゲンなどの女性ホルモンはかなり減少します。
女性ホルモンが減少することによって、腟壁の乾燥や腟萎縮が発生します。
そうなると、たとえ40代であったとしても、肉体的にセックスをすることが難しくなる可能性があるということです。
セックスを定期的におこなっている人のほうが、腟の潤いが保たれている場合が多いという婦人科医も少なくありません。
長年、セックスレスを放置していると、女性の場合は腟壁が硬くなって腟萎縮も早く起きやすいですし、
それに伴って、乾燥、かゆみ、腫れ、ニオイ、性交痛、排尿障害など、さまざまな不調が起こりやすいのは医学的にも証明されている事実です。
女性は閉経後、腟壁のコラーゲン量がさらに低下するため、腟は委縮して堅くなり、乾燥しやすくなります。
膣の乾燥が進むため、女性の場合は性交時に痛みを伴うという状態になってしまうのです。
女性の場合は、腟萎縮が進んで、性交痛がひどくなる前に、なんらかの対処をおこない、そのようになる前にセックスレスを解消させることが大切です。
◆投薬が必要な肉体的症状があるケース
これは男女のどちらにも発生する可能性があることですが、
何らかの肉体的な症状のためにある一定の投薬をおこなっている場合、
肉体的にセックスをすることが困難なケースがあります。
投薬されている薬の種類によっては、性欲の低下やオーガズムの抑制を引き起こす場合があります。
これらの影響は一時的なものかもしれませんし、長期間、継続されるものかもしれません。
この場合は、専門の医療機関にて適切な対応策について相談する必要があります。
長期間、この問題が解決しない場合は、専門家に医学的評価を求め、夫婦で一緒に医師の診察を受けて下さい。
2.心理的な問題
うつ病と統合失調症は両方とも性的欲求の著しい減少と関連しています。
もしもあなたの配偶者がそれらの症状を持っている場合、
あるいは、あなた自身がそれらの症状持っている場合は、まずは適切な治療を受けることが必要です。
あなたの配偶者がこれらの状態の1つでも持っているならば、この問題のために共依存しないでください。
もしも配偶者が自発的に治療を行わない場合は、配偶者に治療を求めるための介入として、適切なバウンドリー設定を使用する準備をしてください。
もしも既に、上記の症状についての治療をおこなっている場合は、おそらく、それらの症状を緩和するための投薬がおこなわれていることでしょう。
その場合は、投薬が必要な肉体的な症状があるケースに該当しますので、
こちらについても、専門の医療機関にて適切な対応策について相談する必要があります。
うつ病と統合失調症の判断は、一般人ができることではありませんので、必ず、専門の医療機関にて検査をおこなってください。
3.夫婦関係が悪いという問題
夫婦関係が悪い場合、当然のことながらその夫婦の間にはセックスは発生しません。
もしもあなたがセックスレスマリッジを長期間続けている場合で、あなたと配偶者の関係が悪いのであれば、
まずはじめに、あなたがおこなわないといけないことは、夫婦関係の修復でしょう。
夫婦関係が悪い状態のときに、どんなに片方の配偶者がもう片方の配偶者にセックスレス解消のためのアプローチをおこなっても、
ほとんどの場合は、配偶者から大きく拒絶されてしまい、撃沈するという結果になります。
配偶者の気持ちがあなたに戻ってきた後であれば、セックスレスの解消に向けて必要なことができるタイミングになりますので、
まず一番はじめに取り組まないといけないことは、夫婦関係を良くして、配偶者の気持ちがあなたにつながることです。
私たち人間というのは、相手と気持ちがつながったと実感できた後であれば、
その相手と肉体的にもつながりたいという願望が発生しますが、
相手と感情面でのつながりが断絶されている状況下では、
その相手を肉体的につながりたいという願望は、一切、発生しないのです。
あなたの配偶者の気持ちが、あなたと再び、つながるという状況を意図的に作っていかない限り、
あなたの配偶者があなたと肉体的につながりたいという願望を持つことはありません。
もしもあなたが、それをあなたひとりでおこなうことができない場合は、夫婦関係修復のためのサポートを受けるタイミングかもしれません。
夫婦コンサルタント
伊藤敏恵